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末梢動脈疾患(PAD)とは
末梢動脈疾患は四肢動脈、頸動脈、腹部内臓動脈、腎動脈、大動脈が狭窄・閉塞する病気で、PAD(読み方はパッド)と呼ばれる場合もあります。心臓冠動脈が狭くなる狭心症や閉塞する心筋梗塞と同様に、動脈硬化が原因で起こります。詳しくは「動脈硬化について」の項をご覧ください。
臨床現場では患者数が多い下肢動脈疾患(下肢閉塞性動脈疾患、LEAD)をPADと呼ぶ場合があります。ですからこの項では下肢PADについてご説明します。症状や治療方針が大きく変わるので下肢PAD(LEAD、リード)は無症候性LEAD、間欠性跛行(かんけつせいはこう)、包括的高度慢性下肢虚血(CLTI)の3種類に分類されます。
末梢動脈疾患(PAD)の症状
無症候性LEADでは無症状か、足に冷感やしびれ感がある程度です。整形外科的な問題と間違えてマッサージ店に行く方も珍しくありません。間欠性跛行は一定距離の歩行で足(特にふくらはぎ)にだるさや痛みを生じ、休むと自然に治まる症状です。悪化すると症状が出現する間隔が短くなり回復までの時間が延びます。
包括的高度慢性下肢虚血では安静時でも痛みが出ます。足の色が青白くなる場合もあります。さらには血流が著しく不足するために、足の組織が壊死し切断を要する場合もあります。ですから早い段階での診断や治療が大切です。症状をよくチェックして、末梢動脈疾患が疑われる場合にはお気軽にご相談ください。
末梢動脈疾患(PAD)の検査と治療
手軽にできる検査が両手両足の血圧を測定するABIや動脈の血流・狭窄などを評価する動脈超音波検査(エコー検査)で、当院ではいずれも常勤の臨床検査技師が担当しています。これらで末梢動脈疾患が強く疑われる場合にはCT検査やカテーテルによる血管造影検査で精査します。
治療法には薬、内科的なカテーテル手術、外科的なバイパス手術などがありますが、いずれの場合であっても禁煙や血圧・血糖・脂質コントロール目的の食事療法が欠かせません。さらに心臓リハビリテーションに代表される運動療法も大切な治療法の1つです。完全に治る病気ではないために、進行抑制や自覚症状の緩和、足切断防止が治療目標になります。