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【院長ブログ】心不全で、息切れはなぜ起こるのか?

2024.08.02

心不全の症状の1つに、労作時の息切れがあります。これは生活活動に大きな影響を与え、心不全患者にとって最も重要視される症状です。

心不全患者の労作時の息切れの主な原因は、肺うっ血によるものですが、肺うっ血がなくても息切れを感じる患者も少なくありません。肺うっ血や息切れの意味を理解し、原因を把握することは、患者の病態を理解することに繋がります。まずは、息切れの定義を確認しましょう。

息切れとは?

息切れとは、呼吸をする際に感じる不快感を指します。たとえパルスオキシメーターで測定したSpO₂が正常でも、患者が息苦しさを感じていれば息切れと評価されます。このため、息切れの評価は患者の主観が重要です。また、息切れと呼吸困難感は同義語です。

息切れの原因

心不全患者の息切れのメカニズムは以下の6つに分類されます。

① 肺うっ血による息切れ

肺うっ血は肺静脈圧の上昇により、肺毛細血管内で血液量が増加する状態です。心不全では心拍出量を維持するために前負荷と後負荷が増加し、左室拡張末期圧が上昇します。これにより、左房圧や肺静脈圧も上昇し、肺うっ血が発生します。進行すると肺水腫や胸水が生じます。

② 左室および左房の圧上昇による息切れ

心ポンプ機能が低下すると、労作時に左室拡張末期圧が上昇しやすくなります。これにより、左房圧や肺静脈圧も上昇し、呼吸回数が増加します。

③ 呼吸回数の増加

呼吸回数の増加により、肺胞換気量が低下し、浅く速い呼吸が息切れを引き起こします。呼吸回数を減らし、ゆっくりと呼吸することで息切れが軽減する場合もあります。

④ 換気血流比の不均衡

心不全患者では心拍出量が低下し、肺血流量も減少します。その結果、換気血流比が不均衡となり、生理学的死腔が増加し、息切れを引き起こします。

⑤ 中枢呼吸化学受容体のCO2感受性亢進

延髄の中枢化学受容器が動脈血中の二酸化炭素濃度上昇を感知し、換気を促進します。これにより、息切れが生じます。

⑥ 骨格筋の神経性反射亢進

心不全患者では骨格筋の萎縮や組成変化が見られ、筋肉の代謝物として二酸化炭素が増加し、換気が促進され、息切れを感じます。

 

息切れは患者さんが感じる感覚です。そのため異常所見がない場合も問題ないと済ませるのではなく、どのような運動で息切れが生じるのか、呼吸数が増加しているのか、呼吸方法の指導で息切れが軽減するかなど、当院では、患者さんの訴えを真摯に受け止めて評価することを心掛けています。

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